活字中毒気味人間の読書記録です。
魔女の笑窪 大沢在昌著(文藝春秋)
2006年07月29日 (土) | 編集 |
ある過去をもつ女性を主人公とした連作集。とはいえど、彼女の過去がちらほらと見え隠れしつつ進行していく最後には、彼女の過去との対決がある。ここでの対決がどうなるのかが、たいへん楽しみになっていく流れなのだが、作者の描き出したラスト(この作品でのラストとしておく。まだまだ終わらない、と私は思うのだ)には、驚かれた読者も多いのではないだろうか。と同時に、彼女の過去がいかに重いものであるかが、おぼろに見えてくる。おぼろというのは、想像できないからだ。想像したくないからだ。

第三章、四章の連作はいかにも哀しい。
第五章のエピソードは愚かにも哀れ。

やっぱり大沢先生の作品は読ませるよなー。
で。
これ、続き書かれますよね? とここで書くより『大極宮』へ行ってみよう。

おお。「「週刊文春」7/27号から『魔女の盟約』新連載開始!」とある。これかな? 楽しみに出版を待っていよう。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
愚行録 貫井徳郎著(東京創元社)
2006年07月25日 (火) | 編集 |
ものすごく手抜きと思われてもいい。
私の語りたいことはここに凝縮されている。
ご容赦ください。>ナカムラワタル氏

ひとは愚かなんだよ。ほんとに愚かなんだよ。
だからこそ、きっといとおしい存在になれるはずでもあるわけなんだよ。
私はただただ愚かなだけの人間なのだけどさ。

貫井氏にはデビュー作にものごっつい衝撃を受けた。爾来気になる作家のひとりとして私の中にはある。なのにこのところ、きちんと作品を読んでいなくて、久々に手にとったら、コレだもの。やっぱちゃんと読まないといけないな。『慟哭』(デビュー作品)から読み返そうかしら。

と、こんなふうだから、読む本ばかりが増えていく。
しかも、新作まで手が回らない。あうーん・・・。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
QED〜ventus〜熊野の残照 高田崇史著(講談社ノベルス)
2006年07月23日 (日) | 編集 |
前回「ventus」の意味を調べようと思いつつほったらかしにしてあったので、今回はちょっと調べてみた。ラテン語で「風」という意味らしい。さて、鎌倉の闇と今回作品にventusがついているのはなぜなんでしょう? 私にはわからないわ〜〜。なにかしらの思惑があるとは思うのだけども・・・・悔しい。ちゃんと読めていないってことだわね。がっくり。

倒叙にはひっかからなかったけれど、それはそれを本目的としているわけではないのだろうから、別に読み手の質が高いわけではない。読み落とすと若干混乱が出るかもしれないけれども。

シリーズ中、いまのところ、この作品がいちばん性に合うカンジ。前知識として、一般にいわれているところの熊野三山について調べたことがあったせいかもしれない。語り手が謎の解明を心の奥では求めていた、というベースというか、そういう流れだったので、語り手に自らを添わせやすかったというのもある。
いま思うことは、語り手と彼女と同様の地上に縛り付けられていたひとびとが、この先、ちゃんと飛び立っていけることを祈るのみ、かな。

ところで、タタルって、そんなに見た目奈々ちゃんいは似合わないですか?(笑)>みわやまさん
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
探偵の夏あるいは悪魔の子守唄 岩崎正吾著(創元推理文庫)
2006年07月22日 (土) | 編集 |
本歌取りミステリというんですかね?
横溝作品を読んでいる読者なら、そこそこには楽しめるかなあ。あそこまでおどろおどろしたものではなく、どこかしら剽軽でユーモラスな作品だと思う。とりあえず、シリーズ(夏秋冬と出ている)次作も読んでみるつもり。とはいえど、次作の本歌をどうもきっちり忘れ去っているようなので、どこまで作者のお遊び部分にうなづけるのか・・・むむ。

***

作者・岩崎氏に関しては、ご自身の著作も含め、『山梨ふるさと文庫』という出版社をもち、地域に根ざした出版活動をされているということを付記しておく。ステキな活動だと思うからだ。
HPはコチラ
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
時計館の殺人 綾辻行人著(講談社ノベルス)
2006年07月22日 (土) | 編集 |
館シリーズはこれで第一期終了なのだそうだ。
あんまり認識してなかったけども・・・・このあとのものと比べると、どこがどうちがっているのかしら?という疑問もちらほら。10部作となるという話もあったようだから、5作目の一区切りという意味合いが強いのかも。次作の黒猫館は内容はさっぱり覚えていないし(ごめんなさい。またちゃんと読みます)、暗黒館とびっくり館の共通傾向といってもちょっと・・・・。

さて、時計館。
本格ミステリとしては、私はこの作品がいちばん好きです。このシリーズには、前提として屋敷に仕掛けがある、ということがあるので、それにかつなにかを加えて構築させていく大変さがあると思うのだけども、そのプラスαが、私はこの作品のものがいちばん好き、ということで。
こういうトリック、好きだなぁ。

***

最後にごめんなさいをひとつ。
図書館に文庫がなくて(廃棄されたというよりも、なんとなくそのまま持ち帰っちゃったひとがいるんじゃないのかしらと思えたり。図書館のものはみんなの財産ですからね、大切に扱い、かつ、きちんと返却しましょう!)ノベルスを借りてきたんですが。んっとね、著者近影に爆笑してしまったのでした。なんだかいまの綾辻氏とはあまりにかけ離れた印象なのだもの・・・。ごめんなさい。>綾辻さん
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
ホワイト・ブランド 新田祐克著(花音コミックス)
2006年07月20日 (木) | 編集 |
短編集。
なんとなくときどき読み返してみる。
特に好きな作品はないのだけれども・・・・なぜかなぁ。

なかでもいちばん苦手なのは「ONE SIZE FITS ALL」。
なのに、この作品集のなかでいちばん興味が惹かれるのは、この登場人物ーーしかもほとんどしゃべってないーーカズミ ホンジョウ。彼をメインにした彼の物語は読みたいな、と思う。

とすると。
新田氏はキャラのつくりが非常に巧いってことになるのかしら。
もちろんストーリーも、ほんとにすごいものがあると思うのだけど。
テーマ:ボーイズラブ
ジャンル:アニメ・コミック
茅島氏の優雅な生活 遠野春日著(リーフノベルズ)
2006年07月19日 (水) | 編集 |
全3巻。

現実感を忘れたいときに読む作品。または、逆にみじめな(金銭的なことではない)記憶を呼び覚ます作品。これを読むときは一種自虐的になる。個人的なことで。訳は聞かないでください。

最後まで攻め氏の名前がでてこないというのが特徴といえば特徴かな。

とにかくケタはずれのお金持ちで、だからこそ世間擦れしてなくて、そこには見栄もなにもなく(なにとも比較する対象をもたない。というかそういう概念がない)、ただひたすら素直。わがままですらある素直な茅島氏。こういう人間になりふりかまわず「好きになってほしい」といわれたら、さて、ひとはどうするだろうね。この作品のお抱え庭師さんは、かるく落っこちてしまったわけだけども。

とりあえず私としては・・・

茅島氏の立場になりたいぞ。
恋はできなくてもいいけど。←答えになってない。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
木島日記 大塚英志+森美夏著(ニュータイプ100%コミックス)
2006年07月19日 (水) | 編集 |
カテゴリは、きっと漫画(社会学またはヘンテコ)。←ごめん。>Tさま
全4巻。

第四巻のSTAFF紹介には
 ストーリー構成・演出 森美夏
 原作・脚本 大塚英志
とある。これが正しくガイドされたかたちだと思う。

なるほど『北神伝綺』よりは、娯楽色が強い。その分、読物として面白い。面白いのだが・・・
一気に読みすぎて、どうにもうまく消化できていないのだ(こら、ストーリー! あちこち飛ぶな!!)。かといって、じっくり読むには体調が伴わない。が、ふわふわしているときに読むというのも、これはこれで正解かもしれない。

この作品も途中で尻切れとんぼになっているらしい。もしや「石原莞爾」がすべてのネックに??? 祟り?
満州の行く末も見たいのだが、なにより木島の愛の昇華を見届けたいのは私だけだろうか。

ところで木島に仕分けされた場合、私はどこに入るのだろう。
きっとその他大勢。ちょっと、いや、かなり哀しいけど、でも、間違いなくその程度の市井のひと、なんだよな。確実に。

***

ええっと。
私は北神が好きです(キャラクタとして)。>Tさま
テーマ:感想
ジャンル:アニメ・コミック
蝶狩り 五條瑛著(角川書店)
2006年07月19日 (水) | 編集 |
桜庭探偵シリーズ二作目。

どうやら、このシリーズは苦手らしい。
桜庭はケツを蹴っ飛ばしたくなるし。
キリエがキライではないけれど、どうにも感情がついていかない。

ヨウイチはすごくかわいがってあげたいし。
檜林とは朝まで飲んで語ってみたいが。
そして渚ちゃんにはあいかわらず興味がなくもないが。

どうにもすっきりしない。
桜庭のもつやさしさの質(たち)が、まわりのひとを不幸にしかねない質のようで、いらつくんだな、きっと。

といいつつも、三作目が出たならば、またきっと読むんだろう。
そして、同じように愚痴るんだろう。


前作のときには“センチメンタリズム”と表現したように思うが、今回はこうだ。“優柔不断”の馬鹿野郎。
ただ。

ヨウイチがキリエについて言うことは、間違ってはないと思うんだよ。
だからこそ、桜庭がああしかできないってことも。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
人形館の殺人 綾辻行人著(講談社文庫)
2006年07月19日 (水) | 編集 |
館シリーズ四作目。
再読。
記憶をなくしていてありがとう。>自分

もちろん、展開を覚えていればいたで、それなりの読み方、いや、もっと違った読み方もできるだろうが。

この作品は、やはりシリーズのなかでも異色だと思う。そして、いまさらではあるが、綾辻作品の特徴でもあるホラー色の萌芽を覚える作品でもある。私にとっていちばん。

確か、最初にシリーズを読んだときには、これがいちばん好きな作品だったような記憶がある。いまだと・・・どうだろう。『暗黒館〜』か、もしくは『四〇九号室の患者』かもしれないな。シリーズ作品ではないけれども。


とまれ。
文庫版解説(太田忠司氏による)にあるとおり、「綾辻行人は『世界』を構築する作家です、そして『世界』を破壊するでもあります」に諸手を上げて賛成します。

ラストのカタルシスは、ちょっとほかでは記憶にない作品だ。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
あの夏、きみと歩いた海 葉芝真己著(リバイバルコミックス)
2006年07月19日 (水) | 編集 |
心おだやかでいたいとき読み返す短編集。

なによりも『煙が目にしみる』が好き。
逢えなくなってから届く部屋のサイズ理解してねぇだろ?なばかでかいソファが、ほんとに涙を誘う。

『Being』も、もしかしたらもう二度と逢えないかもしれない自分を捨てた父親への思いが胸を打つ。その少年の友人ーー父親を亡くしているーーが、少年に心思いを残してほしくないと思う姿にも。
やさしすぎるというのも、どうかと思う作品でもありますがね。

表題作は堂々の(?)BL。青春純愛ストーリー。これはキレイな話です。
テーマ:ボーイズラブ
ジャンル:アニメ・コミック
摩天楼の怪人 島田荘司著(東京創元社)
2006年07月17日 (月) | 編集 |
去年の10月にサイン会で購入したものの、なぜか読まずに大事にかかえこんでいた作品。なんでだろ?
仕事でかなりバタバタしていた時期でもあるし、そのあと病中にて読むには、物理的に重かったというのもある。しかし、読む時期を失してしまったというのが正しいところ。その間ずっとベッドの枕元にありました。ごめんなさい。>島田先生 せっかくサインまでいただいたのに。

御手洗モノとしては、なんとも壮大に楽しめるというところだろうか。「楽しい作品」というような書評をどこかで読んだ。まさしくまさしく。

この島田版「オペラ座の怪人」は、その仕掛けもさることながら、時代背景をとてもうまく生かした“夢”と“未来”と“現実”がある。現実は果たして切ないものではあるが、だからこそ“夢”に命をもかけてしまうひとが哀しい。安定剤による睡魔と闘いつつの読破は、私としてはかなりもったいない残念なことではあったが、とにかくも読了。満足である。

ただひとつ。
ぼーーっとしていたせいか、うまく読み込めていないのか、おそらく後者だろうが、NYの地下の下りがどこにどうかかわってくるのかが理解できなかった。これは今回はもう置いといて、再読時にきちんと読ませていただくことにしよう。
でも、どなたかよかったら教えてください。


ところで、御手洗年譜とでもいうべきものが欲しいな。
スタート時点から、こりゃいつの話になるんだ??の疑問からはじまってしまった私は、御手洗フリークにきちり教えを乞うたほうがよいような気がする次第である。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
北神伝綺 大塚英志+森美夏著(ニュータイプ100%コミックス)
2006年07月17日 (月) | 編集 |
全2巻。作・大塚英志、作画・森美夏。

まだ感性の摩耗していない10代の頃にこの作品に合っていたら、私の進路はどうなっていただろうか。

大学進学を前に、新聞学科と社会学科マスコミ専攻のどちらを選ぼうか、少し迷っていた。これを目にしていたなら、間違いなく後者を選択したにちがいない(実際は前者にてあまり得難くない体験をしたに終わったが)。高校のときの研修生も柳田社会学を学んでいたひとだったしね。が、それは考えても詮無きこと。その頃にはこの作品は生まれ出ていなかったはず。

とまあ、かように興味深かったよ。>Tさま
あいかわらずいろいろと喚起してくれるものをありがとう。こんなところからで申し訳ないが感謝する。

実際のところ、柳田文学のひとつも接していない私には、逆にすべてをあますことなく『文学』として読むことができた。事実(とされていること)とスライドさせることなく。「物語の中にのみ生きうる妄想がある」といみじくも作者が後書きで述べておられるが、これを私なりにも是としたい。



私個人としては「平井太郎」氏が出てきたのにびっくりだ。かなり面白がってしまったよ。

安定剤のおかげで急激に読書時間が減った。
姉妹作『木島日記』は、また時間をみて。
テーマ:感想
ジャンル:アニメ・コミック
1/10のないしょ話 柳原望著(白泉社文庫)
2006年07月15日 (土) | 編集 |
「一清&千沙シリーズ」文庫バージョン二作目。

コミカルででもシリアスで、ほんとうに大好きな作品。
戦国時代の小国で、ただ一人残されてしまったがゆえに国主となってしまった一清。そして、その生まれ持った才覚がゆえに、国を民を守れてしまう、そのある意味哀しさが胸を打つ。でも、その原動力がお能天気で、でも自分の想いにとても素直なおてんば千沙姫や、素朴で一清を一途に信じてくれる部下や民人というのが、すてき。
一清の国を狙うさまざまな悪者たちも、みんなどこか憎めなくて、そこがまたいい。

発表当時に読んでいて、ラストは覚えているのだが、ほかのエピソードの細部までは覚えていないので、とても新鮮に楽しめた。描き下ろしが収載されていたというのも、もうけた気分。

あと1冊ほどで終わってしまうのかな?
楽しみでもあり、残念でもある。
テーマ:〜漫画感想〜
ジャンル:アニメ・コミック
YEBISUセレブリティーズ4 岩本薫著(ビーボーイノベルズ)
2006年07月15日 (土) | 編集 |
出版社倒産でどうなるかと思ったが、ちゃんと継続されてうれしい。
なくなってしまっても少し残念かなと思う程度の作品ではあるんだが(失礼)、やはり完結まではおつきあいしたいので。

今回は久家と益永。このシリーズに登場するカップルは、どれもステキなので、だれが出てきても文句なし!だが、この二人だとよりうれしい、かな。
益永がどんどん自分というものにちゃんと見合った自信をつけていってくれるのがうれしい。幸せなカップルにふってわくトラブルというのは、ありがちなものだけど(というより、そうでないとシリーズは展開していかない)、ラストに明かされるその原因というかきっかけというのが、目新しい部分があって、驚かされた。こういうのがあるから、予定調和的な作品の多いBLものも読み続けてしまうのだな。

ところで、久家とーちゃん、かっこいいゾ!!
不破慎理氏、いい仕事してくれるじゃねーか。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
QED 鬼の城伝説 高田崇史著(講談社ノベルス)
2006年07月14日 (金) | 編集 |
前作である意味予告されたように今回の舞台は岡山。事件は、とても横溝的。意識はされているのかな?
岡山には個人的に関心があるので、思い入れもありつつ、興味深く拝見した。とくに鬼ノ城には実際に足を運んでみたい。

今回も沙織が妙に大活躍。どうにも憎めないキャラだな。途中すっかり姿を消してしまった今回の事件の招聘者女性二人がもったいなかった。もうすこし登場して活躍してほしかった。女性を描くのは、沙織だけで力尽きた??(すみません)

いつもは歴史ミステリと事件との乖離が気になるシリーズなのだが、今回はとてもうまく混ざり合っていたような、というよりも、私自身がうまく融合させて読めた、のかな。や、それは作者に失礼か。

今回のダイイングメッセージにおけるタタルの解釈というのは、これまで私が思っていたことと一致していたので、すっとした。こういうことって、あると思う。

さて、タタルと奈々のこの先は・・・周りの方、いいだけ遊んでやってください。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
QED〜ventus〜鎌倉の闇(くらやみ) 高田崇史著(講談社ノベルス)
2006年07月13日 (木) | 編集 |
歴史ミステリがすっかりメインになってしまって、現実の事件はかなりあっさりと描かれている。
けれど、どうやら私はこのシリーズには、隠された歴史の側面というものを期待しているらしいので、そうしたところでは不満はなし。

前作より登場の奈々の妹沙織がまたなかなかの強者キャラで、本来は苦手なタイプなのだが、このシリーズにはうまくハまっているよう。周囲がタタルと奈々の行く先をかなり言の葉にのせているようになってきたのが、どうも邪魔のようなそうでないような・・・。

あまり意識していなかった頼朝について、いろいろと学ぶことができた。「個人等について論考する意図は、全くない」と註が書かれているので、鵜呑みにすることはしないとここに記してはおきたいが、けれど、いろいろな方向で興味を喚起していただいていることは、作者に感謝したい。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
卒業 雪月花殺人ゲーム 東野圭吾著(講談社文庫)
2006年07月13日 (木) | 編集 |
Hさまよりお借りした。
最初に読んだ『名探偵の掟』は性に合わなくてガリレオシリーズまでは避けていたのだが、ちゃんと面白い作品もあるよ、と薦められたのだった。

で、どうだったか。

実に淡々と書かれた作品で、よかった。
探偵役の加賀の冷静さが、作品全体に影響していて、その加賀のトーンがとても好きだな。
挿入される図の位置から事件が起こることが予想されるし、そこがカナメというのがわかってしまうのは残念だけど、まあ、そのへんは織り込み済みのことで、そのへんからすでに読者への挑戦的なことが始まっているんだろうな。
東野作品だけに、やはり理系的知識で勝負!な部分もあるので、とっても謎には挑戦できなかったけれども。

「青春ミステリ」と解説にもあるように、青春とそこに必ず存在する別れがベースになっているのだが、それですら、センチメンタルになりすぎることなく、淡々と描かれていく。いい小説だ。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
秘書の条件 佐々木禎子著(キャラ文庫)
2006年07月12日 (水) | 編集 |
5ページ目ですべての展開が読める作品。
つまるところ、とても“らしい”作品というわけだが、この方ならもっともっとよい作品が書けると思う。もったいないな。

イラストは史堂櫂氏。すこし(人物の)線が細くなりましたか?
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
星の秘密 剛しいら著(ダリア文庫)
2006年07月12日 (水) | 編集 |
吸血鬼舞台を観たところなので、タイムリーといえばタイムリーなのだが・・・。
どうやらシリーズ三作目の作品らしい。
どうせ読むなら順にしとけばよかったな。

テーマとしては面白いのだが(吸血鬼の生き残り術とでも?)、できればもっと掘り下げてほしい。といってもこのページ数では無理か。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
歯科医の憂鬱 榎田尤利著(キャラ文庫)
2006年07月11日 (火) | 編集 |
期待はしていなかったんだが、さすがは榎田氏。きっちり楽しく読ませてくれました。が、濡れ場はしっかり読まないですっとばしてしまうあたり、私はやはり正しいBLファンではないのやもしれぬ。

25歳と30歳の、妙に初々しい恋愛物語。
少しずつ心を寄せ合っていく様子とか、わかりあっていく様子がほほえましく、飽きさせない。ささいなことですれちがったり、そのすれちがいを埋められなくて終わってしまう恋はきっと多いと思う。そういう意味では、これは参考書になるかもね♪

しばらくイラストのことを(ユギさん以外は)書いていなかったが。
この作品の担当は、高久尚子氏。線がキレイなので、この方の絵は好きだ。作品にも合っていると思う。

この作品のラストに収載されているおまけ話がなかなかナイス。こういうこぼれ話 by 第三者っていうのは、とてもいいな。


蛇足。
受けの歯科医さんは、職場ではオニのような容赦のないドクなのだが、マスクで隠されて文字どおりなかなか素顔が一致しないという設定。
その昔、かかっていたマスクあり美人(女性)の歯医者さんがマスクをとったときの衝撃は、私は忘れないぜい。衝撃の内容については・・・コメントを避けさせていただきます。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
ドッグ・ギャラリー 犬の贈りもの 千方可著(小学館)
2006年07月10日 (月) | 編集 |
会社にて同僚の方がお持ちになっていたのを昼休みに読破。
というよりは眺め読みというか。

埴輪にはじまり、日本近代美術のなかに描かれた犬およびその作品を紹介したもので、なかなか興味深かった。

私のお気に入りは山口華楊画『洋犬図』。ボルゾイがそりゃあもうすばらしいったら。
テーマ:本の紹介
ジャンル:学問・文化・芸術
シャンパーニュの吐息 夜光花著(キャラ文庫)
2006年07月10日 (月) | 編集 |
初読み作家さん。
ミステリっぽい展開はきらいじゃないけれど、印象に残らない作品だった。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
星降る夜の恋がたり あさぎり夕著(コバルト文庫)
2006年07月09日 (日) | 編集 |
デリバリーホストシリーズ3作目。
たしかこのエピソードはマンガで描きたいと作者はおっしゃってたはずだが・・と思いつつ開けると、マンガからスタート。でも、どうせなら、最後までマんガで読みたかったかも。

にしても、やっぱ背広のトーンが・・・・(以下自粛)。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
一気更新。
2006年07月09日 (日) | 編集 |
ほめられたことじゃないけれど、25項目(かな?)一気更新した。だいたい20日分の記録となる。

読んだらちゃんと記録すればいい。読む時間があるんだからできるだろ?
記録する時間や気力がないんなら、本も読まないだろ?

こうならないところが・・・ねぇ。
記録する間もなく次の本に手を出すっていうのが間違いなんだよ。
わわ。
そんなことをいってる間に、いつのまにか図書館の閉館時間が!!

とりあえず返却、借出してくる。
いってきまーす。

***

といって、読み返しもせずに更新ボタンを押したのが16時24分。
それから顔洗って着替えて、本をリュックにぶっこんで、
図書館に到着したのは・・・おそるべし、自分。なんと16時44分。
のんびり歩けば15分はかかる距離なのにね。

そしておそろしいことに、図書館には11冊もの予約本が!
でも、いいの。BL系が5冊もあるし、これは2日もあれば終わる。
問題は、笠井潔氏の『オイディプス症候群』。
しっかり読んだつもりがどうやら未読で。そういえばきのう予約かけたんだったと思い出すも、この863ページハードカバーは、さすがにちょちょいでは読めない。プラグマティズムと格闘しつつだからなー。
でも、楽しみでもある。これは11冊のラストにもっていく。

本題に戻ろう。
25項目かな?更新したけれども、実はいちばん大切な作品を記録していない。
『乱鴉の島』有栖川有栖著である。
書きたいことがいろいろありすぎて(突っ込むところが、ということではなく)、まだ文章にできないというのが真相。ただ読了したのは6月25日であることだけ、ここに記しておく。更新は書いた時点での日付にする(たいていは遡って読了日に日付を設定している)。

とりあえずそれだけを書いておきたくての雑記でした。
テーマ:独り言
ジャンル:その他
せつない奴が多すぎる 愁堂れな著(ゲンキノベルズ)
2006年07月08日 (土) | 編集 |
↓の第一作目のところで書き忘れ。
このシリーズには、山田ユギ氏によるおまけ漫画が掲載されていて、それがまた秀逸。山田氏はどうしてあんなに優れた作品が描けるかな。ほんのちょっとした心の機微を、どうしてあんなに見事に表現できるかな。絵の描けない私には、もはや神様。恐れ多くて・・・あれ? もしかして、ここでほとんど作品紹介してないかも・・?

閑話休題。
本題に戻る。

一作目を読んだら当然続けて二作目も読みたくなるわけで。気に入っているし。それにしてもおまけ本はいったいどこへ・・ぶつぶつ。

これはメインの攻めくんのほうの兄妹話。切ないね、タイトルどおり。ただそうなってしまった状況はしょうがないことだとは思う。職業に貴賤はないとはいえど、思うことはいろいろあるはず。そのなかで、自分にできることはやれるだけのことはやる!という受けくんの決意は侠気があっていいねぇ。

続きはもはや基本あまあまでしかないだろうけども、ぜひ読みたい。
ぜひ書いてください。>愁堂先生 もちろんイラストもそのままで。
ついでながら、このシリーズの装丁もすごくイイ。表記されていないのが残念である。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
真昼の月3 いおかいつき著(アイノベルズ)
2006年07月07日 (金) | 編集 |
おねだりして買っていただいて、お借りいただいた。なんて傲慢な。
わがままをきいてくださってありがとう。>Tさま

堪能しました。
が、だいぶあまあまになってしまいましたね。次回は(あれば)もしかしたら私が買うかな?

ミナミの南ばあさん、最高にかっこいい。自らのポリシーを曲げることなく貫き通して、周囲にも認めさせて、それで全うに生きているんだから、いうことなし! もちろん、そうなってしまった哀しい過去はあるにせよ。

平さんも向坂さんもあいかわらずナイスだが、今回の並木ってのもなかなかヤルな。やっぱり脇がいい作品は面白い。もちろん大前提にメインの二人がかっこいいというのはあるけどね。

今回は、平おくさんと秀一の会話がいちばんよかった。彼女もかっこいいな。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
あぶない奴が多すぎる 愁堂れな著(ゲンキノベルズ)
2006年07月05日 (水) | 編集 |
表紙買いした作品。再読。再再読かな?
もちろんイラスト担当は、山田ユギ氏。じゃないと表紙買いはしないねー。

でも、アタリ作品だったので、ほくほく。というよりも、これでかなり愁堂作品の私のなかでのランクが上がったくらい。
いまのところこの作中人物がメインの作品は2作だが(愁堂氏の作品には、いろいろつながりがあって、この作品に出てくる組関係絡みのシリーズは、前にこちらで紹介したもの)、さらに増えるとうれしい。このシリーズがいちばん好き。

このシリーズは、とかく兄弟のあり方というものをテーマにしているようだ。この作品のメインの二人もそうだし、依頼人もそう。家族とはいったいどういうものなのか。そうした重めのテーマを抱えつつ、テイストはあくまでもコミカル。

秀彦とさゆりちゃんが、とにかくイイねぇ。大好きだ。

ところで、このシリーズ2作目を購入したときに、おまけ本をいただいたのだが、どこかへ消え失せてしまった。どこに埋もれたんだよー。出てこーい。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
傀儡の巫女 眠る探偵3 榎田尤利著(講談社X文庫ホワイトハート)
2006年07月05日 (水) | 編集 |
このシリーズは、ジュネノベルズから文庫落ちしたところで、私の意識はミステリ小説というカテゴライズに。なので、いろいろとご意見もあろうが、ここではミステリに。ミステリとも言い難いのではあるが。

あいかわらず真音が痛々しい展開である。だれしもが真音の安寧を願っているのに、だれもそれができない。槇を排除すればよいのかというと、それも果たしてそうなのだろうかという疑問を孕む。挙げ句、今回は、真音自らが槇を増長させてしまう結果に・・・。

辛いなぁ。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
イノセンス・ブラッド 血の刻 仙道はるか著(講談社X文庫ホワイトハート)
2006年07月05日 (水) | 編集 |
完結したら感想を、と書いたものの・・・・うーーーん・・・。

高階良子氏の『はるかなるレムリアより』が読みたくなった。以上。
ってカンジ?
設定からすると4巻でまとめてしまうには無理があるというところかな。
作者にも不満が残る出版だったかもしれないね。
テーマ:ファンタジー小説
ジャンル:小説・文学
春信殺人事件 高橋克彦著(角川文庫)
2006年07月05日 (水) | 編集 |
美術探偵のシリーズを読まずにこちらを読んだので、写楽殺人事件の登場人物の行く末がいきなり出てきてびっくりした。これはそっちのシリーズをちゃんと読まないと。

写楽〜ほど、歴史ミステリの側面は強くなく(もちろんないわけではないが)、ミステリとしてたいそう楽しく読んだ。ハードボイルドといってもいいかもしれないな。骨太の探偵役に、かなり感情移入してしまった。

それにしても、これら浮世絵ミステリを読むと、浮世絵をちゃんと観たくなってしまう。向上心をそそるよい作品群でもあるわけですね。

さ、塔馬探偵の登場するシリーズの発表順を調べないと。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
ONE PIECE 42“海賊vsCP9” 尾田栄一郎著(ジャンプ・コミックス)
2006年07月04日 (火) | 編集 |
この巻は、やはりサンジVSカリファ。
たらればは意味がないけれど、サンジがレディを蹴ることができたら、闘いはどうなっていたんだろう。しかし「コカーン!!」には何度読んでも大爆笑させられてしまう。ごめん。>サンジ

この巻では、ゾロのがぼーんな顔がどうしても小林まこと氏の絵に見えてしまう。あの口の形って・・・。

シリアスとコミカルがまじって、息をつかせない展開がワンピースの面白さだが、キリンカクや茶のみフランキーやもっさーカリファに爆笑させられつつも、とにかくチョッパーの悲痛な決意がたまらない。哀しいよ。


で、ルフィのギア3(サード)はどうかと思うの・・・・。
テーマ:ONEPIECE
ジャンル:アニメ・コミック
蒼い記憶 高橋克彦著(文春文庫)
2006年07月04日 (火) | 編集 |
記憶シリーズ第三弾。これも後輩Tさまにお借りしたもの。
なんとなく読んでしまうのが惜しくて、いじいじといつまでも枕元に置いてあり・・・・・遅くなってごめん。しかしまだお借りしたのに手をつけていないもの多し。さらにすまぬ。

なんというか、印象に残る作品が多い。いくつか簡単にあげてみる。

『記憶の窓』
ホラーでいいっすね。エクソシストだ。このあと彼はどうなったんだろうか。ひどく興味がそそられる。

『水の記憶』『愛の記憶』
いずれも夫婦間の愛情の深さを描いたもの。自分にはない経験だから、たいそう美しい情景かと思う。切ないけどね。

『嘘の記憶』
さばさばとすがすがしい。かなり好きかもしれない。

ひとの心とは、ほんに不思議なものだと思う。
私にも思い出したくない記憶はあるし、完全に欠けている記憶もある。記憶という一片のモチーフでこれだけ綴ってしまう高橋氏の“記憶”への思いというものはいかほどなのだろうか。

テーマ:怪談/ホラー
ジャンル:小説・文学
人騒がせなロメオ 富士見二丁目交響楽団シリーズ 第6部 秋月こお著(角川ルビー文庫)
2006年07月03日 (月) | 編集 |
BL小説のくくりには入れてあるが、すでにこれは登場人物が男同士のカップルであるということだけのような・・・・。というか、さっさと終わってくれてもいいような・・・(以下自粛)。
ならなぜ読んでるのか、とは聞かないでほしい。所詮シリーズ読み人間なのである。ここまできたら、いいかげんにバイオリニスト悠季の大器っぷりというか大成したとこ見たいじゃないか!

長く続けば、それだけ登場人物も増えてくる。ついにリッチー(の名前)登場だし。6部に入ってから登場した(どの本だったか記憶にあらず)由之小路くんはナイスキャラとして、これかた幅を効かせる存在になりそうだし。興味を煽ることにかけては、さすがに手練だなとは思う。<秋月氏

ま、ここまできたら、とことんおつきあいします。BLにハメられたのはこの作品だし。サイン会なんぞに連れてかれたのも秋月氏のが初めての経験だったし。ごく初期に書かれた「短い天才指揮者の活躍」というものがどういう終焉を迎えるのか、これを知らないでは離れられないぜ。
テーマ:BL小説
ジャンル:小説・文学
ずっとずっと。 石田育絵著(ミリオンコミックス)
2006年07月03日 (月) | 編集 |
なーぜーかー買ってしまうのだよな。石田氏の作品。
これは大阪弁が妙に楽しめた。

デビュー作『水平線』の続きということなのだが、そちらは未見。
どんな作品なのかな。
テーマ:ボーイズラブ
ジャンル:アニメ・コミック
彩おとこ2 鳥人ヒロミ著(ディアプラスコミックス)
2006年07月03日 (月) | 編集 |
ディアプラスだからしょうがないとは思うが、1巻発売より2年。もう1巻の中身忘れたって・・・。
ということで、いつもなら1巻を引っ張り出してきて通読するのだが、今回はバタバタしてたこともあって、なんとなく思い出しつつ読了。さらに展開が遅くなっていて、これはもう完結してからきっちり読み返そうと決意した次第。

とにかく、背景に潜む謎やら過去やらがあれやこれやたくさんで、これが解明されないことには読むのもたいへんで。っつか、解明されていくその流れが現在と絡まり合って、先へと続くのがストーリーというもの。おとなしく読んでおれ!というところですな。

山吹、蘇芳、丁字、藍という腹違い四人姉兄弟のネーミングはすごく好き。



ところで。
ボーイズという括りは、いったいなにを意味するのかな。
男同士の恋愛関係が作品中に描かれているものという定義なら、大きくはあてはまるとは思うが、それだけを定義とするならば、古典なども入ってくるし、ほかにもたくさんあると思う。たんに男同士の恋愛関係を描くというだけならば、この作品のようにその範疇に収まらないものも、数多くあると思う。
テーマ:ボーイズラブ
ジャンル:アニメ・コミック
QED 龍馬暗殺 高田崇史著(講談社ノベルス)
2006年07月03日 (月) | 編集 |
龍馬についてのこと、荒ぶる神のこと、あいかわらず謎がみっしりつまっていて、これだけの内容をノベルズに詰め込んでしまうのは、いささかもったいないのではないかと思う。どれも興味深い内容だけに。

それにしても熊つ崎の登場には、驚いた。肉体労働担当者が必要だったから?←ひどい言いようだ。いや、あのラストには、周りをがさつながらも(←ひどい言いようだ part2)明るくさせてくれるヤツの存在が必要だったのだと思う。

小学校の時の修学旅行で訪れた桂浜。そこで見上げた龍馬の銅像を思い出してしまった。少々の感傷をともなって。

「世の中の人は何とも言わば言え、我成すことは我のみぞ知る」
龍馬の言葉だそうだ。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
迷路館の殺人 綾辻行人著(講談社文庫)
2006年07月02日 (日) | 編集 |
館シリーズ第三弾。
これはシリーズのなかでも好きな作品。
なのだけど、ラストのラストはすっかり忘れていて・・・・。

本の中に本を入れ込んでいるという方式が面白く、中に入れ込まれた作品にも、表紙や奥付までがしっかりと入っていることは、最初の段階でわかっているくせに、そのあとのもうひとひねりを予測できず。というより、そんなことを忘れてしまうほど、作中作にのめりこんでしまったわけ。
館の仕掛け、ロジック、どれもこれも私は好み。

作中作の奥付の発行者が、綾辻さんの本名というのに大受け。こういうちゃめっけって大好きだ。
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学
川に死体のある風景 e-NOVELS編(創元クライム・ノベル)
2006年07月01日 (土) | 編集 |
「川と死体」をテーマに競作した美しくトリッキーなミステリ・アンソロジーだそうだ。

 『玉川上死』歌野晶午著
 『水底の連鎖』黒田研二著
 『捜索者』大倉崇裕著
 『この世でいちばん珍しい水死人』佳多山大地著
 『悪霊憑き』綾辻行人著
 『桜川のオフィーリア』有栖川有栖著

なんとでもいえ!
やっぱり有栖川氏の作品がいちばん好きだ!!!
“犯人を当てる”という意味からいけば、これは正しくミステリではないのかもしれない。ただこの美しい描写、ひとへ対するやさしく包み込むような眼差し。これは氏に勝るものはないと思う。学生アリスシリーズへの助走となるべき作品なのだそうで、次の作品と目されている学生シリーズ長編がいっそう待たれる。

このアンスロジーには、それぞれ筆者による作品の裏話とでもいうべきエッセイが添えられている。悉く興味深い。

歌野氏、黒田氏、大倉氏の作品は、それぞれ感傷を伴う読後感。現実に起こる殺人事件は、報道されるものが表層的であるがゆえに、生々しさとなんでそんなことを!という怒りを捨て去ることはできないが、虚構は虚構ゆえに、そこにいくばくかの感傷の入る隙がある。そのへんの描き方の巧い作者の作品に心惹かれるのは、それはもうしょうがないことなのではないか。私見ですが。

佳多山氏は評論を書かれる方で、どうやらこの作品が小説作品をしてははじめてなのだとか(どこかでそのようなことを目にしたと思うのだが・・ちょっと探し出せない。誤記であればご容赦ねがいたい)。氏の想定した内容はそのままきちんと表出できているようだが、作品としては・・・やや散漫かな。トリックは面白いだけに、少々もったいない。が、きっとこれはシリーズ化するものとして、その初作品における要説明事項は捨てきれなかったのだろうな。頭で書かれた作品というイメージ。

綾辻氏。ミステリかホラーかというと、印象度からいうとホラーかな。綾辻氏の後記がいちばん楽しかった。ページ数の都合でさしかえてしまったという最初の構想の作品は、ぜひ上梓していただきたいな。どんどん橋のようなことになるのかな(登場人物が)。ご本人も記されているように「迷路館」みたいな流れだけども。


蛇足。
ラストに初出の案内が掲載されているのだが、ここでは作品名と発表誌(ミステリーズ!)の号数などがわかるようになっている。なぜか綾辻氏の分だけが、綾辻氏の名前まで掲載されているのだな。最初ここを見て、作品名に作者名も入っているのか。さすが遊びの好きな綾辻さんだなと思ったのであった。実際にはそんな遊びはなかったのだけども・・・・掲載時にはそういうことだったのですか? それとも誤植?
テーマ:ミステリ
ジャンル:小説・文学